【第2790例会】ゲスト卓話 「ブレンディングについて」 ニッカウイスキーアンバサダー 金子 太郎 様(2023年2月2日例会)

会長時間

『法句経5番』
 世界の主要ホテルの部屋には「聖書」が常備されていますが、同様に「仏教聖典」というオレンジ色の表紙の本が置いてあるのをご存じでしょうか。これは日本の仏教伝道協会が世界55ヶ国に翻訳し寄贈しているものです。
この本の見開きにはお釈迦様の言葉が書かれてあり、「怨みは怨みによって果たされず、忍を行じてのみ、よく怨みを解く事を得る。これ不変の真理なり」(法句経5番)という言葉で始まっています。
 分かりやすく言いますと、何かの怨みに対して、こちらが怨みで応酬すれば、また相手も怨みを増幅させます。つまり怨みに対して、怨みで仕返ししても、怨みの連鎖が続くだけで何も解決しません。この怨みの連鎖を止める方法はただ一つ、怨みを捨てること。これがいつの時代でも変わらぬ法則ですよ、と言っているのです。
 この言葉には有名なエピソードがあります。日本は1945年に戦争に負けて、1951年に日本の主権承認をかけた「サンフランシスコ平和会議」が開かれます。この会議では、どの国も「もっと賠償金を出せ」「ここの領地は自分のものだ」等、日本というパイを皆で奪い合うものでした。
 そんな中、セイロン(現スリランカ)のジャヤワルデネ代表(後の大統領)が、このお釈迦様の言葉、法句経5番を読み上げて演説したのです。
 「怨みの連鎖はどこかで断ち切らなければならない」と言って、セイロンは賠償の請求権を放棄し講和に調印しました。そして、これに共感した仏教国、ラオス、カンボジア等も、賠償権を放棄して講和条約を結んだのです。
 憎しみの連鎖を断ち切る方法はキリスト教にもあります。「聖書・ローマ人への手紙」12章19節に、「愛する者よ、自ら復讐するな、ただ神の怒りに任せよ、主言い給う、復讐するは我にあり、我これを報いん」とあります。
 これは「復讐するな、復讐は神にまかせよう」「悪い奴には神が罰を与えて下さるんだ」という、神に任せる事によって憎しみの連鎖を断つ方法です。方法は違いますが、説こうとしている所は仏教と同じです。
 憎しみを忘れ許す事、なかなかできない難しい事ですが、これが平和な世界・社会への第一歩となる事でしょう。

※『法句経』とは、『ダンマパダ』とも言い、日本仏教で主流の「大乗経典」ではなく、もっと古い「原始経典」と呼ばれるもので、423の短い文言で書かれています。釈尊が語った言葉がそのまま残っているものと考えられています。

木村 会員、川﨑 会員 入会式

株式会社ティ・ジョイ Tジョイ東広島 下田 昭 様

竹鶴政孝とニッカウヰスキー ウィスキーアンバサダー 金子 太郎 様