【第2781例会】英語暗唱大会の発表(奉仕プロジェクト委員会(青少年))(2022年10月20日例会)

会長時間

『猫缶』
 去年の夏、蔵に仕掛けていたネズミ捕りもちに1匹の子猫がひっついて取れなくなって鳴いていました。お湯と洗剤を使って子猫を捕りもちからはずしましたが、体についたねちゃねちゃが取れず歩くこともできません。動物病院に電話し教えてもらった通り、小麦粉を体中にまぶしてやると動けるようになりました。それ以来、ミルクをやったり残飯をやったりしているうちに居ついてしまいました。そうなると、残飯じゃいけないなと思いペットショップに行くと、実に様々な猫の餌が売っています。人間のものと変わらないような缶詰もたくさんあります。
 辺見庸の書いた「もの食う人びと」という本があります。これは食べることをテーマに世界中を旅したルポルタージュですが、珍味豪華料理のグルメレポートではなく、貧しいい人々の食に目を当てたレポートです。この中で、タイのバンコクで猫用缶詰を作っている工場を訪れた時の話が記されています。
 バンコクの工場では、若い女性工員が日給115バーツ(約575円)で働いています。月に26日働いて15000円ほどの収入です。彼女達は狭いアパートの1室に4人相部屋で暮らしています。辺見庸は従業員のティンという16歳の少女にインタビューします。「ずいぶん失礼な事をティンに問うた」と前置きして、こう記されています。
 「日本の猫のための缶詰を作っていること、どう思う?」ひどい質問だった、あれはなかった、やめとけばよかった。ティンは沈黙したのだ。目が怒っていた。やがて言葉を吐き捨てた。
 「関係ない、ただ働いているだけよ」質問されなければならないのは私達の方なのだ。「あなたの家の猫が食べているその缶詰が、どうやってできたものか、想像してみた事がありますか?」と。
 まだ16歳の無口な少女ティン、タイ東北部出身のこの子の細腕には故郷の家族の生活がかかっているのでしょう。タイの少女が1日中、猫用缶詰工場で働いて、日本の猫ちゃんの1日分の餌代にしかなりません。この大きな落差は一体どうしてできたのでしょうか。腑に落ちるようで落ちない。猫を飼う事が悪い訳ではない、猫ちゃんにおいしい食べ物を与える事が罪なのではない。それでは一体、何が悪いのでしょうか。
 家の猫が食べている缶詰がどうやってできたか想像してみて下さい。タイの貧しい農村の少女が、まだまだお父さんお母さんと一緒にいたい年頃なのに、親と別れて町に出て、食品工場で安い賃金で働かされて、そうやってできた猫缶。それを日本の猫ちゃんがおいしそうにぺろりと食べる。猫缶一つからこうした世界の隙間、暗闇に気づく事ができます。私達が知らないこの世の歪み、闇はまだまだ無数にある事でしょう。それらを全て正す事は大変難しい不可能に近い事ですが、知る事は大切だと思います。

連続出席 表彰

今谷会員47年、宇治木会員44年、竹内会員43年、小早川会員43年、藤本会員35年、連続出席おめでとうございます。

第15回東広島市英語暗唱大会 優勝者の発表

1年生部門優勝:松賀中学校 森 獅鳳 くん、森川 和葉 さん

2年生部門優勝:中央中学校 豊田 小陽 さん

3年生部門優勝:八本松中学校 佐々木 怜 さん

スピーチ部門優勝:磯松中学校 植木 彩未 さん