【第2786例会】夜間忘年例会(2022年12月15日例会)

会長時間

『クリスマス』
 街にはクリスマスキャロルが流れ、大勢の親子連れや恋人達が楽しそうに腕を組んで歩き、街全体が幸せな気分で包まれたような季節がやって来ました。皆さんも家族でクリスマスを楽しく過ごされる事と思います。
 しかし、私は仏教寺院で生まれ育ちましたので、子供の頃からクリスマスには無関係で、ケーキもプレゼントもありませんでした。母と商店街を歩いていて、お店にたくさん並んでいる長靴に入ったお菓子の詰め合わせが欲しくて仕方ありませんでした。母に言っても、「お父さんに怒られるから」と、買ってもらえませんでした。小学校3年くらいになると、友達がみんなクリスマスにはプレゼントをもらうという事を聞いて大変なショックでした。そんな理由でクリスマスは嫌いになり、自分は仏教徒なんだと自覚するようになりました。
 アメリカの映画監督にスティーブン・スピルバーグという人がいます。『ジョーズ』『ET』『ジュラシックパーク』『インディージョーンズ』等、数々の名作を作った人です。そのスピルバーグの作品の中でアカデミー賞を取ったのは1993年の『シンドラーのリスト』です。ナチスドイツによるユダヤ人虐殺の中、オスカー・シンドラーという人が1000人以上のユダヤ人を救ったという実話を元に作られた映画です。3時間を超す長い映画です。
 スピルバーグは雑誌の受賞インタビューで、「あなたのユダヤ人としてのアイデンティティーは、いつ頃からできたと思いますか?」と問われ、「少年時代、友達の家のクリスマスの飾りが羨ましいと思った時からです」と答えていました。
 これを読んで、私は自信を持つ事ができました。「あぁ、スピルバーグも自分と一緒だったんだ」と。彼はユダヤ人だから当然ユダヤ教徒でありクリスマスは祝わない。自分はクリスマスとは無関係だと思い知らされる事で、ユダヤ教徒としてのアイデンティティーが確立されたのです。
 だから、私は自分の娘にも同じようにしました。クリスマスツリーはもちろん、ケーキもプレゼントもあげませんでした。かわいそうだとは思いましたが、自分やスピルバーグがそうであったように、娘にも「自分はクリスマスとは無関係だ」と知る事によって仏教徒としての自覚を持ってもらいたかったからです。
 『きよしこの夜』というクリスマスの歌があります。英語の歌詞は「Silent Night,Holy Night」(静かな夜、聖なる夜)です。キリスト教徒にとって、クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝して神に感謝の祈りを捧げる日です。仲間で飲んで騒いだり、カップルがラブラブで過ごす日ではありません。日本のクリスマスは主役がイエス・キリストではなく、サンタになってしまっているようであります。
 3年ぶりのお酒の出る忘年例会です。親睦委員会の方で色々趣向を凝らしたもてなしを準備してあります。今夜はみんなで楽しく飲みましょう!

例会風景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広島大学サークル Jack-ó-Lantern(ジャック・オー・ランタン) 余興